Northen Lights を追って (1)  〜全13話〜





夜空に視野いっぱいの大きさのアーチが浮かび上がる。
「よし、はじまった!」とばかりに、急いでカメラを取り出す。
外にあらかじめ出しておいた2台の三脚にそれぞれカメラをセットする。
しかし、暗闇の中では三脚のネジをカメラにはめるだけで大変な作業だった。すんなりうまく行くこともあれば、イライラするほど手間どる時もある。
そうこうしているうちに、アーチの立ち上がり部分はさざなみだって動き始める。その動きを見極めながら、カメラとレンズの設定を確認してファインダーを覗く。
極寒の中、すぐに息苦しくなり、我慢できずに、「ぷは〜っ」とやってしまうと、眼鏡もファインダーも瞬く間に凍りつく。それどころか、カメラのレンズにまで息がかかりそう。霜がついたら撮れなくなっちゃう。
しばしカメラから顔を離して、ハァハァ・・・。
いや、そんなひまはない。
オーロラはどんどん濃くなり、動きも大きくなっていく。

 

つづき