Northen Lights を追って (3/13)





オーロラについてはそれなりに事前学習をしたつもりだったが、
目の当たりにする現実は、ひらひらと微風に揺れるカーテンというよりは、砂時計の砂粒が少しずつ少しずつ落下していく動きのような、スローモーションのようでもあり、基盤となる巨大アーチの形は崩すことなく、それでいて一瞬一瞬姿を変えていく光。
そして、それを受け止める壮大な地上の器。

あるとき、その光はアーチの形を解いて頭上のあちこちに節操も無くスジ状の幕をさしかけてきた。
突然現われた天頂のカーテンは動いているのか静止しているのか、よくわからない。
こうなるとカメラをどこに向けていいかわからない。
半分やけになって魚眼レンズを真上に向けてシャッターを開く。
今、この大地に私を繋ぎとめているものはカメラと三脚だけ。
このとき、頭に浮かんだ言葉は「primitiv」(原始的)。
英語からっきしの私がそんな言葉を知っていたとは自分でも知らなかったけれど、なにか根源的な力強さを感じた。
これは見世物ではなく、人の意志とは関係のない自然現象であり、所詮人間のやることは神様には及ばない。



つづき