〜遅れてきたサンタクロース〜 (1/2)
「へえ、日本から? 僕はスコットランドから。
息子に会いに行くんだよ。君は?」
「オーロラに会いに行くんですよ」
・・・・ここで話は途切れた。
オーロラ(northern lights=ノーザンライツ)、この単語がなかなか通じにくい。
「R」「TH」「L」と、日本人に難しい発音が目白押しである。
通じてないかもなーと思いながら、真っ暗な窓の外をのぞきこむ。
やがてうとうととしてしまった。
* * * * * * * * * * *
今回の目的地、ホワイトホースまでの機中。
通路をはさんで2席ずつという観光バス並の狭い飛行機に、自分の席を見つけたとき、そこには30歳くらいのスキンヘッドの男が座っていた。
しかも鞭打ちなのか首にギプスをはめている。
心の非常ベルが鳴り響いたが、ここでひるんではいけない。
「窓席死守」である。
その席が自分の席であることを主張すると、その男はあっさり席を替わってくれて、そのかわり
「?????」と英語の機関銃を浴びせてきた。
あわてて、自分が日本人で英語があまりよくわからないことを伝えた。
そこから冒頭の会話が始まったのである。